ホワイトニング治療について――基礎編
第三章 新しいホワイトニング治療法の紹介
前章では現在行われていいるホワイトニング法を紹介させていただきましたが、これまでのホワイトニング法はまだまだ改善の余地がある治療法です。ここでは新しく開発されたホワイトニング法をご紹介します。
まず人に用いるためには以下のような厳しい条件をクリアーしなければなりません。
- 安全であること
使用している原材料がすべて安全性が確認されていること。たとえ歯に被せるだけであっても安全性が確認されていないものは使用しない。 - 歯を痛めることが無い
歯を溶かしたり、磨耗させるような処置ではないこと。また歯茎を傷めることがないこと - 治療が不快ではないこと
処置をすることで不快な症状がでたり、日常生活に支障をあたえないこと - 短時間で効果が現れること
長くとも2週間ぐらいで結果がでることが望ましい - 患者さんの手を煩わせることができるだけすくないこと
効果の確実性をあげるには患者さんがやらなければならないことをできるだけ減らすことが必要。
さらに望ましい条件にリーズナブルな費用でホワイトニングが行えることがあげられます。
以上のような条件をクリアーしたのがここでご紹介する新しいホワイトニング法です。
新ホワイトニング法のコンセプトは「ホームホワイトニングの利便性、経済性とオフィスホワイトニングの効果を持つホワイトニング法」ということになります。完成したのがトップページの写真にあるような装置です。
ホームホワイトニングと同様にホルダー(トレー)を使用しますが、ジェル状の漂白剤は使いません。代わりに漂白剤がホルダーに固定されています。このホルダーを歯に被せると漂白剤がすこしづつ溶け出して歯の表面に存在する着色物質を分解して歯を白くする仕組みになっています。(さらに詳しいことを知りたい方は、医療従事者向けの「新しいホワイトニングシステムの概要と臨床評価」をご覧下さい。
これまでのホームホワイトニング法に比べ以下のような優れた点があります。
1 ホームホワイトニングより効果が確実
ホームホワイトニングではジェル状の漂白剤を使うのでどうしても、漂白剤が流れ出る可能性があります。流れでてしまうともう効果は期待できません。歯を白くさせるために要する時間は漂白剤の作用時間と反比例していて、長い時間漂白剤を歯に作用させれれば短い時間で白くすることが可能です。しかしホームホワイトニングでは流動性がある漂白剤を使うため1日数時間の使用が限界です。流れ出して飲み込む危険性があるからです。それにひきかえ、新しいホワイトニング法では漂白剤がホルダーに固定されているので歯から外にもれでる危険性が少ないのです。たとえわずか漏れた漂白剤も唾液の力で無毒化されるので、ホームホワイトニングのような漂白剤を飲み込む可能性はほとんどありません。ですので使い方は1日数時間から寝ながらホワイトニングを行う場合まで、それぞれの患者さんのライフスタイルに応じて自由に決めることができます。
また漂白剤が固定化されていることから常に歯へ効果が及んでいるので、ホームホワイトニングに比べると確実に白くなるのです。
2 ホームホワイトニングより短時間あるいは同程度の期間で白くすることが可能
新ホワイトニング法では漂白剤が歯にしっかりと固定されことを説明しましたが、その結果短い時間でホワイトニングを終えることが可能となりました。もちろん患者さん一人一人が違った症状なので、皆がすべて短時間でというわけではありませんが、多くの患者さんが1週間ぐらいで白くなったことを実感し、中には一晩新ホワイトニング法で治療を行っただけで白くなったことを実感されている方もいらっしゃいます。
3 ジェルを使用しないので不快感が少ない操作が簡単
新ホワイトニング法ではジェルを使用しなくても白くすることができます(なかなか白くならない場合には歯と漂白剤の隙間を埋めるためごく少量のジェルを使い、漂白剤の効果を高めています)。そのためジェルを飲み込む危険性、不快な味や毎回ホルダーにジェルを注入し、使用後はホルダーをきれいに洗浄するといった煩雑な操作などの、ジェルを使用するために発生する多くの問題が解消されています。
4 特定の歯だけを白くすることができる
従来のホームホワイトニングで使用するジェルには流動性があるので、特定の歯だけを白くすることはできませんでした。しかし新ホワイトニング法では漂白剤が固定化されているので、簡単に特定の歯だけを白くできます。ですから、ある歯だけ色が気になる場合でも問題なくその歯だけを白くできるのです。
トゥースホワイトニングは贅沢な治療ではありません。出かける前にお化粧をするのと同じく身だしなみを整えることなのです。どうか一度、歯科医にご相談下さい。